2005年11月21日
みなさまこんにちは!カシカシです。
今回は、第6回でお知らせした「千葉大学環境健康フィールド科学センター内の「柏の葉診療所」診療所長で漢方専門医の喜多敏明先生のお話をご紹介しましょう。
喜多敏明先生は、全国ではわずか2000〜3000人ほどといわれる漢方専門医です。柔和な笑顔とソフトな話し方をされる方で、辛い病気の悩みをやさしく受け止めてもらえそう。分かりやすく楽しくお話ししてくださる喜多先生に、漢方治療についていろいろ伺いました。
患者さんはどんな方が多いのでしょうか。「患者さんの平均年齢は、だいたい55歳。65歳以上の方は3分の1ぐらいです。若い患者さんもいらっしゃいますよ。鼻炎やアトビー性皮膚炎、喘息などのアレルギー疾患は若い人や子どもさんがほとんどですね。アレルギー疾患は漢方治療の得意分野なんです。」 漢方治療というと高齢者の患者さんが多いと思っていましたが意外でした。
「漢方治療のお薬は、基本的にオーダーメイドです。その患者さんの症状、身体の様子、環境などを総合的に判断してお薬を調合します。漢方薬には約147種類のエキス薬という粉状の薬剤と、煎じてつくる、いわゆる生薬が約300種類あります。それらを患者さんに合わせて、量を加減しながら調合していくのです。」
まさにカスタマイズしたお薬です。ところで西洋医学のお薬は、薬である反面、使いすぎたりすると毒にもなりますが、漢方はどうなんでしょう。
「漢方にも毒になるものはありますよ。例えば、トリカブトは強力な毒薬として知られています。でも熱処理すると冷えや痛みによく効く薬になる。漢方では上薬、中薬、下薬と分かれていて、下薬というのが毒にもなる強い薬、中薬から上薬になるほど、毒性が少ない薬です。それで、この上薬を強い下薬と組み合わせて効力を調整し、患者さんの状態や体調に合わせていくのです。まさに“さじ加減”ですね。」
漢方治療では診断のことを「証」といいます。また、症状がはっきり出る人は「実証」といい、風邪をひいたら熱などが出るタイプ。そういう人は体力があり、身体が病気に対してきちんと反応しているともいえるそうです。症状が出にくい人は「虚証」といい、こちらは熱などもそう高くならないけれど、いつの間にか症状が進んでいる人。要は体力がなく、身体が病気と闘えないともいえるそう。そういうことをも見極めてお薬を処方しないと、かえって身体に良くないそうです。
「“なんとなく調子が悪いが、どこで診てもらったらいいか分からない”などという場合に向くのが漢方治療です。漢方治療では、その症状を緩和するだけでなく、全身の状態を良くすることで病気を治していくんです。東洋医学ではいわゆる不定愁訴のように、明らかに病気とはいえないけれど不調な状態を“未病”と呼んでいます。この未病の時期にきちんと診断して治療する方が早く治るし、治療費もかかりません。病気が明らかになる前の未病段階での治療へとシフトしていけるかが今後の医療の課題ですね。」
これから漢方治療を受けたいと思われる方にメッセージを。
「漢方治療はあくまでも病気を治すお手伝い。自身の中にある病気を治そうとする力を引き出すサポート役です。最終的に病気は自分の力で治すもの。だからご自分の力、自然治癒力を信じて受診しにいらしてください。」
先生のお話を伺っていたら、身体のことだけでなくて人生にも前向きな気持ちになれそうな気がしました。
◆喜多敏明先生プロフィール
「柏の葉診療所」診療所長、医学博士。1985年に富山医科薬科大学医学部卒業後の翌年、富山医科薬科大学附属病院和漢診療部助手に就任。
1999年、富山医科薬科大学和漢薬研究所漢方診断学部門助教授に。
2003年より千葉大学環境健康フィールド科学センター助教授。学会活動は日本東洋医学会専門医、和漢医薬学会評議員、日本未病システム学会他多数。主な著書に「やさしい漢方理論」(医歯薬出版)、入門漢方医学(南江堂)などがある。
