アートが元気をくれた都市 ニューキャッスル/ゲーツヘッドのキャロル・ベルさん来日講演





「ニューキャッスル/ゲーツヘッド」というまちの名前を聞いたことがあるでしょうか? 「ニューキャッスルなら聞いたことがあるけど…」という方はいるかも。そう、これはふたつの都市の名前が合体した呼び名です。ニューキャッスル・アポン・タイン市とゲーツヘッド市は、タイン川をはさんで隣り合う別々の市ですが、ふたつの市が共同で、アートでまちを活性化させるという、とてもユニークな取り組みで世界中に知られています。
UDCKで開催された講演会「創造都市戦略を学ぶ----ニューキャッスル/ゲーツヘッドの事例をもとに」で、「ニューキャッスルゲーツヘッド・イニシアティヴ」(以下NGI)プログラム開発局長のキャロル・ベルさんのお話を聞きました。
NGIは2000年に設立され、以後、アートやスポーツ、音楽フェスティバルなどの文化活動の企画運営や広報宣伝を手がける団体です。この試みが始まったきっかけは、ゲーツヘッド市が1998年に、彫刻家アントニー・ゴームリーによる巨大な彫刻「エンジェル・オブ・ザ・ノース(北の天使)」を設置したこと。今年で10周年記念を迎えますが、その間にNGIが設立され、ふたつの街をつなぐ橋ができ、倉庫を再利用した美術館「バルティック」、シアター「ザ・セージ」が続々と生まれ、文化活動を積極的に行ううちに、造船を中心とした工業都市から世界でも最もクリエイティブな都市と言われるまでになりました。
「エンジェルを設置する前は、どうしてこんなものを建てるのか、という反対意見がとても多かったのです。でも、次第に住民の人々が“私たちのエンジェルだ”と思ってくれるようになったんですよ。20年前は誰も考えられなかったことですが、現在、私たちのまちに観光に来られる方がとても多くなって、まちはとても変りました。仕事も増えましたし、まちの人も外の人も、いろいろなイベントに参加しに来てくれます。まちの評判も高くなりました。私たちは住民がアートの一部になるようなイベントを行ないます。アーティストは私たちを特別な能力で助けてくれる存在ですよ」(キャロルさん)。
「文化活動は、一過性のものではありません。まちの人々とも徐々に信頼関係を築いていくことがとても大事ですね。」(デイヴィッドさん)。
「まちのひとりひとりが“大使”になってくれているんです。これからは次世代のリーダーを育てていくことも大事だと思っています」(キャロルさん)。
ニューキャッスル/ゲーツヘッドでは、アートはまちの人々のこころを結びつけ、まちを楽しくし、みんなが豊かに暮らせる方法のひとつだと考えて、実行しているのだと思います。これはとても素敵なこと。講演の後の座談会では、ニッセイ基礎研究所の吉本光宏さんから、日本では横浜市や金沢市がニューキャッスル/ゲーツヘッドのような“創造都市”を目指しているのだという報告もありました。イギリスと日本では、アートを支援する状況が異なるのだそうですが、日本でもこのような都市が増えてくるといいですね。
(写真上から)
1.ニューキャッスルゲーツヘッド・イニシアティヴのプログラム開発局長のキャロル・ベルさん(左)と、イベント&フェスティバル・マネジャーのデイヴィッド・ビルトンさん
2.彫刻家アントニー・ゴームリーによる巨大な彫刻「エンジェル・オブ・ザ・ノース」。まちの誇る造船技術を駆使してつくられた美しい彫刻。すべてはここから始まった
3.小麦倉庫を改装したアートセンター「バルティック」
4.建築家ノーマン・フォスターによるシアター「ザ・セージ」
5.ニューキャッスルとゲーツヘッドを結ぶ「ミレニアム・ブリッジ」




















































